もはや官僚に内需振興策は無い

1980年代までの官僚はデータを持っていた。


情報もあった。


各業種ごとの実態をほぼ把握していた。


 


今は、何も知らない。


データも無い。


知見も無い。


相場観も無い。


 


これは「官僚のせい」ではない。


官僚と民間が触れ合うことが禁止されたから。


これでは現場の情報の入りようがない。


情報がなければ施策は打てないのである。


 


金融関係はノーパンシャブシャブだったかも知れない。


 


でも、中小企業は、虎ノ門のオデン屋に官僚を呼び出し、大根とジャガイモと、筋と卵をつつきながら、1人3000円以内で収めて、割り勘で飲む。


こうした、ささやかな情報交換も消えた。


情報交換=癒着=何かを頼んでいる=悪いこと


このようにマスコミは宣伝する。


 


しかし、実態は、一中小企業が一官僚(それもノンキャリ)に頼んでも何の力も無いのである。


そんな野暮は、誰もしない。


天下国家を論じ「業界は如何にして国に貢献できるか」を語り合っていたのである。


 


こうした情報交換が消えた時期は


小泉政権の成立した2001年頃である。


政治主導というのは、こうした意味である。


しかし、官邸に情報がある訳が無い。


官僚と中小企業のオデン屋での情報交換の代わりに、


首相直属の諮問会議を数多く作った。


そこに呼ばれるのは学者、ジャーナリスト、識者、そして一部の民間の大企業の代表である。


 


しかし、この呼ばれた人達は、それぞれは立派な方だと思うが、個別の案件に精通しているわけではない。


そこで、現場感覚と大きなズレが生じていた。


 


このズレは是正されることなく法律になった。


さらに、法律の解説書が出なくなった。


官僚が民間の出版社に原稿を書くのは禁止されたからである。


解説書がなければ、法律の狙いも理解できない。


「官僚が、現場に合わない法律を勝手に作り、強引に取り締まる」と、中小企業関係者の不満が増大した。


 


こういう不満を持っている人は、今回の政権交代を歓迎している。


でも、彼等は直ぐに、期待外れだと分かるはずである。


原因は官僚が悪いのではないのだから。


 


そして、もはや官僚には情報が無い。


竹中氏は、江戸時代から続く伝統的な商工組合の組織をメチャクチャに破壊した。


その結果、もはや各業界の実態は誰も分からない。


中央組織が消えたからである。


 


竹中氏は「業界団体は日本だけのものであり、米国には無い」等と平気で出鱈目を書いている。


 


戦後、長く続いた日米貿易摩擦において、米国政府を動かしていたのは米国の業界団体である。


 


業界団体は、時として政治的にも動くし、大学との共同研究など学術的にもリードしている。


欧米では、各国の業界団体の交流が実に盛んであり、シンポジウムが大好きで、毎年、どこかで議論しながら情報交換している。


もちろん日本からも参加しているが、日本でニュースになることは無い。


商工組合などの組織は欧州では極めて権威が高く、イベントがあれば経済紙のみならず地元紙からも取材依頼が殺到する。日本では、労働組合よりも怪しい組織と思われており、共産主義者と間違えられる。


 


欧州も、米国も、日本ほどメチャクチャな自由競争はやっていない。この「日本式自由競争」は、世界に例が無いほど過酷にして破壊的なものである。


そのため、法人は景気変動に極めて弱い。


 


今後はどうなるのか?


今後は、どうするのか?


 


それは、我々がどうするかにある。


 


虎ノ門升本の蛸でも食いながら考えよう。


 


http://diamond.jp/series/hamada/10013/


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by yuyuu-yano | 2009-10-01 10:41
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