失われた10年とは、1990年のバブル崩壊からの10年間の不況のことらしい。 日経平均株価は1989年12月29日の大納会に最高値38,915円を付け、これをピークに暴落した。 しかし、これはバブルが勝手に弾けたというより、政府が無理やり崩壊させたとしか思えない、不可解な金融政策があったと記憶する。
この時、株や不動産やゴルフ会員権に投資していた人達は真っ青になったが、普通にビジネスをしていた中小企業のサラリーマンは、特に何の変化もなく忙しかった。
大手の中には深刻な影響を受けた企業があったが、それは本職ではなく、マネーゲームに注力し過ぎていたためである。
現実に1990年代は日本のGDPは成長を続けており、特に民間最終消費は安定して伸びていた。
1990年代のGDP(実質)の推移である。 1990年は464兆円 2000年は534兆円 なんと70兆円も増えている。 70兆円と言えば、韓国一国のGDPよりは小さいが、台湾一国のGDPよりは大きい。 もちろん、タイ、インドネシア、マレーシアよりも大きいのである。
こちらは民間最終消費の推移である。 1990年247兆円 2000年289兆円 42兆円も増えている。
42兆円と言えば、台湾一国、タイ一国のGDPより大きいのである。
1990年代は、日本の中小企業の成長期であり、 年商1億円の小企業が、翌年は5億円、さらに10億円、さらに30億円へとトントン拍子で伸びた時代である。
大手企業が金融関係(投資)でドジを踏んで動けなくなっていた時代に、マネーゲームをしたくても、内部留保の金子が無かった中小企業は、バブル崩壊の影響を受けずに、フリーハンドで業績を伸ばせた。
もちろん、才覚のある会社は伸び、マスコミの煽る不況ムードの中で何もしなかった会社は、そのままであったが。
しかし、テレビ、新聞は毎日、毎日、不況だ不況だと騒いでいた。 日本のGDPは延び続けているのに、どこが不況なのか? 金融関係と不動産関係と、一部の大手企業のみ不況なのである。 GDPの伸びを誤魔化すために、わざわざドル換算にして、日本のGDPが減少しているよう工作した。
GDPは国内総生産であるから、自国通貨で比較しないと意味が無い。そこまで偽装して日本を不況と表現したいマスコミの情熱は、何処から来るのか?
・日本経済は崩壊寸前 ・日本沈没寸前
・・・とマスコミは連日、大騒ぎしていた。 正確には ・銀行崩壊寸前 ・銀行沈没寸前
その理由は「それは自業自得だが」である。
あるテレビ番組で、レポーターがエコノミストや様々な業界のリーダーを訪ねて 「今は日本沈没、何分前でしょうか?」と聞く企画があった。
エコノミスとは、もう60分前だの、10分前だの、3秒前だのコメントしていたが、実業の世界(実体経済)の社長に聞きに行くと? 「何の話?」 「日本沈没は小松左京でしょ」 「今の経済は世界も羨むような状態だがや」
・・・と答えに窮していた。
さて、この話はそれで良いのである。 実体経済は、その後も多少の循環はあるものの、奈落に落ちることもなく発展してきている。
しかし、去年の9月15日以降は、かつてない深刻な事態に突入している。
それなのに、好況の時に不況を煽るマスコミは、 不況の時には、馬鹿に静かである。 マスコミは金融経済が不況でないと騒がないのか? 実体経済の不況は、真実の不況である。 今の外食産業の状態を見れば、その深刻さが分かると思うのだが、やっぱり銀行・証券が不況でないと騒がないようである。
by yuyuu-yano
| 2009-09-21 19:29
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by 矢野友遊 カテゴリ
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