今日は神楽坂界隈で昼食を食った。 外堀通りのパチンコ屋の隣に、2階建ての飲食店が数軒、並んでいる。この中で、一番、間口の狭いインドールと言うカレー屋に入った。
カウンターしかなく、カウンターの後方が狭い。 腹の出ている人は、この店に入るのは不可能だ。 出腹が、他のお客の背中に支えてしまうから。
今日、この店に初めて入ったのだが、 カツカレーを頼むと、急にママさんが次のように話しかけてきた。 「寺田寅彦の随想の文章、実にいいわね」
カレーを食べはじめると何の脈絡もなく、こうした話が振って来るところがシュールだ。 「あの人は、夏目漱石の教え子ですからねr・・・なかなか味がある文章です」 「え・・・そうなの」 「熊本の第五高等学校で夏目漱石に教わってます。 漱石と相性が良かったのか、我輩は猫であるの中に、寺田をモデルにした人物が登場します」 「私は東大の先生だと思ってた」 「その後、東大の教授になります」 「今、ラジオの朗読の時間で、寺田寅彦随想集をやってるの。それを毎日、聞いてるんだけどね。今日は地震について書いた文章、やってたけど」 「その地震は関東大震災ですね」 「そうなのよ」 「彼は地震の研究もやってまして、東大の地震研究所の創世時のメンバーです」
それから急に話がお彼岸に飛ぶ。 「お彼岸というと、お墓参りだと思ってる人がいるけど、違うのよ」 「お墓参りはあっても良いけど、それは主ではないです」 「彼岸というのは、彼の岸なのよね」 「そうです。彼の岸を思い修行するのが、彼岸の法要です」
・・・初めて入った店での哲学的な食事であった。
by yuyuu-yano
| 2012-03-23 23:35
| 食道楽
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by 矢野友遊 カテゴリ
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