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社長給料の値下げとその背景

最近の中小企業で、社長の給料を下げるというのが流行ってますな。


社員とあまり差がなくなっている。


 


これは景気が悪いというのもあるが、他にも理由がある。


先日、逮捕された木村剛などが作った「金融検査マニュアル」の影響で、多くの中小企業で、もはや永遠に銀行から金が借りられなくなっているからだ。


 


これは、危ない会社に融資した銀行に、金融庁がお仕置するためのマニュアルだ。


このマニュアルが出来てから銀行は金を貸さなくなった。


銀行の中小企業向け貸出残高は、この10年で激減している。


 


それでも、麻生さんが導入したセーフティネット保証のお蔭で、今は何とかなっているが、これが終了する来年春には、膨大な中小企業の倒産が起きるといわれている。


 


でも、民主党は、子供手当てや外国人に金をバラ撒くことに熱心だが、中小企業の苦境には興味がないようだ。


だから、何らかの対策が必要なのである。


 


中小企業の社長の給料が高いのは、


法人税の実効税率が約41%あり、法人の利益で法人税を払うなら、役員報酬として社長に利益を移し、所得税・住民税を払った方がお徳だったからである。


 


会社から移した利益を、自分で使ってしまうような社長は、まず居ない。


万一に備えて貯金するのが通常である。


銀行が金を貸して呉れないわけなので、資金が足りない時は、その貯金を会社に貸す。


最近では、多くの場合、社長の貯金通帳に金は入ておらず、会社の短期借入金となり運用されている。


 


また、銀行は社長の個人保証なら金を貸すので、社長の給料は多い方が信用が付く。


その観点から、かつては社長の給料は高くしてあった。


 


でも、今では会社の格付けにより融資が決まるし、実質的には最高位の「正常先」でないと借りられない。


そこで、社長の給料を高くする意味が無くなった。


 


さらに、これも麻生さんだが、リーマンショックの後、3年間だけ中小企業の法人税を18%まで下げた。


実効税率は25%程度であり、これなら社長が高額の給料を貰い所得税、住民税、厚生年金、健康保険を払うよりも有利となる。


 


会社の利益として、会社で税金を払う方が、税金は安くなるのである。


また、会社で利益を出し、税金(25%)を払えば、残りの75%は内部留保となる。


社長からの短期借入金でやりくりするより決算書は綺麗になる。


 


このような理由で、社長の給料は下がる方向にあるが、


こんなことをやっていても未来展望はない。


 


企業は金を借りて投資するものなのだ。


なぜ、企業の文字に「企」が使われているのか?


 


それは、何かを企てるからである。


企ては成功することもあれば、失敗することもある。


 


チャレンジ精神を失ってしまっては、ただ衰弱するのみである。 


by yuyuu-yano | 2010-10-25 23:46
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