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トップランナー方式

JISなどの規格は、どのように決められるのか?


専門的な知識を持たないと規格を定めることはできない。


そこで、業界団体を中心に、その開発部門のスタッフが協議して基準を作り、これを政府機関が認証する方法が取られてきた。


 


これらの規格は最低基準で、


「この規格のレベルに達しない製品は駄目よ」


そういうものであった。


 


JISの認定工場で生産され、JISのマークが付いているものは、この最低基準をクリアしている。


これは最低基準であるから、優秀な製品を作るメーカーの製品はJIS基準を楽々とクリアしていたが、


一方で必死の努力で最低基準をクリアするところもある


 


 


ところが1998年に省エネ法「エネルギーの使用の合理化に関する法律」が改訂された。


これにより自動車や家電、OA機器などのエネルギー消費効率について、トップランナー方式が導入された。


この背景は1997年の地球温暖化防止京都会議である。


京都議定書を決めた会議ね。


 


今までの基準の作り方は、ビリに合わせて作っていた。


ビリが脱落しないような基準である。


脱落すると商品が売れなくなるので死活問題である。


それでビリのランナーに「もうちょっと頑張って、ここまでレベルを上げてちょうだい」というレベルを設定していた。


 


ところが京都議定書=非常事態だがや。


 


言うことで、現在商品化されている製品の中で、


最もエネルギー効率が優れているものの性能水準に配慮して省エネ基準を設定するトップランナー方式に変更された。


基準を作るのは、学者先生を中心とした審議会。


「基準はどうしましょ」


「欧州はどうなってる」


「こうで、おます」


「それに右に同じで良いでしょ」


ほぼ、このように決まる。


この欧州基準なるものが曲者なのだが、学者先生は余りご存じない。


 


トップの基準に合わせると、2位以下は努力しなければ、その基準をクリアしない。


努力する時間的な猶予は与える。


例えば10年後に、ここまで努力するべし・・・というような基準というように定める。


この基準はトップランナーの現状での水準より高くなる。


 


こうして、馬の前に人参をぶら下げるような競争が1999年より始まった。


この基準を達成しないと勧告。企業名を公表するぞと脅かされ、走りに走る。


 


困ったことに、日本人は頑張ってしまうのだ。


自動車の省エネ基準では、2010年に達成する基準は2003年にほぼ全てのメーカーが達成し、2015年に達成すべき基準が新たに設定された。


膨大な開発費を投入した結果である。


 


しかし、こうした基準をクリアしたクルマは高価になる。


いくら省エネ性能が上がっても売れなければ意味がない。


法規制により馬の前に人参をぶら下げるような競争して頑張ったのだから、売れるようにしてもらわないと困る。


 


この責任は誰が持ってくれるのか?


それは法律を作った人でしょう。


by yuyuu-yano | 2009-09-09 10:02
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