ついでに赤福のお土産ニーズについて考えてみる。
すると「白い恋人」とは全く違うのだ。 これは、会社や取引先企業へのお土産にはならない。 個別包装されてない・・・どころか、食べようとする餅が、隣の餅とくっていている。 多人数で分けるのが不可能ではないが、これを分けようとすると総務部門は、きわめて生産性の悪い、無駄な仕事をしなければならない。 さらに、くっていている餅を強引に分けても、皿に載せないと配れない。 こんなものを土産に持ってくる人間の評価は地に落ちる。 持ってくる方も大変だ。 あの商品は、傾けると片方に寄ってしまう。 常に水平にして持って帰らねばならない。 ・・・ということは鞄に入らない。 赤福は、家庭用のお土産なのである。 愛する家族のために、苦労して持って帰り、 前後左右とくっていている餅を分けて食べるところに、家族の絆を感じるようなお土産なのである。 私の子供の時(1960年代)に、父が三重県に出張すると、赤福を買ってきてくれた。 母親は嬉しそうな顔をして、子供は喜ぶ。その顔を見たくて購入するのである。 父の出張先は桑名である。 「今日はどこに?」と母が聞くと、 「その手は桑名の焼蛤だ」とか言って出かけていた。 桑名に何の用事があったのか、当時、子供の私には分からない。 また、当時、赤福は桑名で売っていたのか、伊勢まで足を伸ばして購入したのか不明であるが、 「桑名の殿様、時雨で茶漬け」とか言って、蛤の時雨煮をお土産に買ってくることもあった。 時間が無い時は時雨煮、さらに時間がないと、名古屋の青柳外郎。ちょっと時間があると伊勢まで足を伸ばして赤福だったのかも知れない。 赤福という菓子は「好きな人」と「嫌いな人」がいる。 あのべたっとした餅の感触が嫌という人も居る一方で「あれが美味しいのよ」という人もいる。 私も赤福には興味なかったが、 青春時代に付き合った女性の一人が大好きで、 中部方面に出張・・・聞くと「赤福、買ってきてね」と頼まれる。 高いものではないので買って帰ったが、 渡す時にとても喜ぶので、その時に父の気持ちが分かった気がした。 私の時代は、すでに新幹線の中で、赤福が買える時代であった。 しかし、「どうも赤福には、旨いのと、それほど旨くないのもある」という噂があった。 「伊勢の本店の赤福でないと駄目」とか言われたこともある。 今回の事件で「やはりそうだったか」と思った。 赤福のような生菓子を全国的に売ろうとしたのが間違いである。 需要よりも少なく造る。 そして、自分の目の届く限定された場所で売る。 物流が発展している現在ゆえに、その逆を行く商売の利がある。 もう一度、原点に返り、昔の味で出直してもらいたい。 伊勢神宮前の赤福本店
by yuyuu-yano
| 2007-11-30 20:00
| 食道楽
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by 矢野友遊 カテゴリ
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