火曜日から2泊3日で国内市場を回っていた。
地方に行くと、いつもの「典型的な不景気話」を聞かされる。 「この地方は、下請けの工場しかないので、 中央の大企業が調子が良くても、 そのご利益はまだ回ってこないのですよ。 市場は冷え切ったままですよ。 いざなみ景気を超える戦後最長の好景気というけれど、 地方の中小企業は悲惨なものです」 こういう話をする人は、まず製造業(話す本人の言う下請企業)では無い。この地域の製造業の景気が悪いので、我々の方にも、お金が回ってこない・・・と考える他力本願の流通業者か、サービス業者である。 そして、このような分析は、ほぼ100%、地方新聞の社説か、経済解説記事の受け売りである。 地方新聞は主要な記事を、左翼イデオロギーに犯された共同通信から買っているし、社説も共同通信の下書きを適当にアレンジして使っている。 それを読んだ読者が「地方は景気回復の実感が無い」と言い、それを聞いた政治家が「地方はまだ苦しい状態なのは、良く判っています」と、いかにも現場がわかっている風なコメントを出す。 しかし、その分析は地方の市場を取材したものではなく、東京の霞ヶ関に近い共同通信のビルの中で書かれた夢想に過ぎない。 もし、製造業で「我々のような下請け企業には、まだ好景気の恩恵は回ってこない」等と思っている経営者がいたら、百年待っても景気は回復しないだろう。 もう、とっくの昔に、大手企業の下請けは、人件費の安い海外の工場に移行している。 台湾、韓国、中国、東南アジアの国々の工場が、日本企業の下請け工場である。 工業製品は様々な部品の集合体である。 日本でセットアップされた日本製であっても、 その内部の部品は海外からの輸入品が多くを占め、さらに、最近では海外でのセットアップも増えている。 日本企業の海外現地工場や提携工場からの輸入である。 これは1985年のプラザ合意から本格化し、 この動きは21世紀に入り、さらに加速している。 国内の中小企業で生き残るなら、 独自の技術で大手企業のパートナーになるか、 自力で海外展開するしかない。 地方には、そういう中小企業が育っている。 今回の出張で、一人の若手の元気な経営者に会えた。 彼の会社は数年前までは倒産寸前の状態だったが、彼が中心となり独自の試験技術を開発したため、今では多くの大手企業とアライアンスを組んでおり、極めて羽振りが良い。 未だに戦前の財閥時代のように 「大企業が中小企業を支配している」という日本経済二重構造論を信奉している人がいるが、時代錯誤も甚だしい。 一方、古いタイプの流通業やサービス業の経営者は、製造業が地元の「稼ぎ頭」と信じ込んでいる。 ひたすら地元の工場のかつてのような活況を待っているが、それは無駄だと知るべきである。 米国の流通業やサービス業は、独自のノウハウを集積して、そのプログラムを武器に世界中に進出している。 日本でも、地域の事業者の開発した販売システムが素晴らしい実績を上げ、全国のチェーン展開される例は、各業種とも数え切れない程である。 ビジネスモデル特許を取得し、国内市場の攻略を目指すべきである。 「この商品は、地方では少ししか売れない。 でも、日本全体なら大きな量になるだろう」 と販売網を全国に広げて成功した例もある。 しかし、あいかわらず、不況の中で眠り続けたい人々は多い。 結局、文句は言っているが実はまだまだ余裕があり、自己変革はしたくないのである。
by yuyuu-yano
| 2006-11-11 00:37
| 祖国
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by 矢野友遊 カテゴリ
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