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散歩する人たち


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欧州と比較すると日本は労働時間が長いから短縮しなければならない・・・と言うことで、日本でも時短が熱心に追求されたことがあった。



しかし、労働時間だけを比べて「長い、短い」というには意味が無い。



マルクスの「賃労働と資本」のような、狭い考え方が、今だに日本を支配している。



本来は人々の生き方の問題だからである。



多くの人達の暮らしぶりがあり、それに合わせて労働時間は短くなったのである。すなわち、時短は目的ではなく結果なのである。



 



午前中短期集中労働は、夏の間は暑いから、能率を上げて短時間で成果を挙げようということだ。働くには午前中だけ。いわゆる半ドンである。



仕事が終わると、まずは自宅に帰る。そこで、食事をしてから昼寝する。2時間程度昼寝をして、夕方になると起きて出かける支度を始めるのである。



こうして、午後4時頃になると、人々は散歩に出かける。1人で出かける場合もあれば、夫婦で出かける場合もある。友人と出かける場合もある。 それは様々であるが、今まで誰もいなかった町の通りが、突然、人で溢れてくる。



 



伊太利の画家、デ・キリコが描く、人影が全く無い街路は、



人々はお昼ね中の午後2時頃の街路である。



それが4時となると、人で溢れるのである。



 



散歩する人々が向かうのは街の広場である。



日本の公園は、児童公園が主体だが、欧州の広場は大人が利用する。広場に行けば知り合いが集まっており、そこで情報交換したり議論する。もちろん子供向けの紙芝居のようなイベントもやっている。



 



基本的に広場は議論の場であり、議論が娯楽のひとつでもある。



すばらしい議論が出来ると、彼らは実に楽しそうだ。



議論は、2つの異なる意見の戦いではなく、



お互いが協力して、新しい真実を見つけるためのものである。 



だから、口頭泡を吹くような議論をしていても、最後は「今日は素晴らしい議論が出来た」と握手して分かれるのである。



 



このような情報交換を兼ねた散歩が終わると、まずは人々は自宅に帰る。ここまではウオーミングアップであり、そこから第二部が始まるのである。


by yuyuu-yano | 2006-09-22 10:07
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