カテゴリ:絵画( 46 )

フェルディナント・ホドラーの世界

「わかり過ぎて怖いぐらいね・・・」
会場に入るやいなや彼女が呟いた。

確かに会場内にはピリピリした空気が感じられる。
それは画家の研ぎ澄まされた感性から発しているように思われた。
スイスの画家、フェルディナント・ホドラーの展覧会が国立西洋美術館で開催されたのは、1975年の6月7日から7月20日である。
それ以降、ホドラーの展覧会は日本では開催されていない。
ムンクと共に、表現主義の先駆者と目されながら、ホドラーの名は、あまり知られていないように思う。

私の連れの彼女は、病み上がりであった。
彼女は神経科の病院に数年間入院し、退院後のリハビリ中であった。
病院ではハイデッガーやサルトル、ニーチェ等の哲学書を読みあさっていたらしく、
また、多くの患者と様態を見、彼らと様々な議論をして来たため、まだ20歳になったばかりなのに、老成した印象を与えた。

そして、私が一番、驚いたのは、その健康さであった。
人は衰弱して病気になるが、また、健康すぎても病気になる。
肉体的な健康はもちろん、私は彼女の、しなやかな知性、明晰な分析力に舌を巻いていた。
しかし、その明晰さゆえに現実の世界の中では生きにくいこともある。

この世界は、ゆるやかな衰弱と、いくらかの蒙昧を持っていた方が生き易いのである。

フェルディナント・ホドラーの世界は極めて明晰である。
それは、スイスの高地の空気のような透明感を持っている。

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「夢」1978年



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「秋の夕べ」1897年



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「生に疲れし人々」1892年



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「昼」1904年





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ホドラーは1853年にスイスの首都ベルンで、非常に貧しい職人の家の、6人兄弟の長男として生まれる。

彼の兄弟は幼少の内に結核で全員が死去。

さらに父が死に、母が死に、14歳で彼は天涯孤独となる。



最初は看板職人や観光客相手に絵を売る路上の画家を経験。

小銭をためて、ジュネーブまで歩いて行った。

ジュネーブの美術館で、展示された絵画の模写をしていた時に、美術学校の校長に見出され、彼の学校に入り基礎を学んだ。

その後スペインに渡り、マドリードのプラド美術館に通い巨匠達の絵を見て学ぶ。



その後、ジュネーブに戻るが、貧しい生活が続く。

しかし、50歳を過ぎた頃、その特異な作風は注目されるのである。



ホドラーは50歳までは名も無い貧しい画家であり、その人生の殆どをスイスで過ごし、他の画家達や様々な画壇の運動とは没交渉であった。






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ジュネーブ湖





ホドラーの絵は、一部の特徴的な人物画を除くと、その殆どが風景画であり、さらに、スイスの湖を描いたものが圧倒的に多い。



しかし、ホドラーの「湖の絵」の色彩は、印刷物での表現は不可能である。

例えば上の絵の、明るい空と雲を映す湖面は、極めて平面的に広がってみえる。

しかし、この絵の本物を目の前にすると、明るい湖面の下に存在する圧倒的な水の量と、その深さが描かれているのである。



その下に深く冷たい水があるから、水の表は明るく穏やかなのである。

冷徹に死を見つめる目があるからこそ、生の喜びも描けるのである。



あの日に購入したホドラー展のカタログに、何枚かの湖の絵がカラーで収められているが、実物を見た印象とは全く異なっていた。


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by yuyuu-yano | 2014-12-14 14:48 | 絵画

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス

ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス
Jhon William Waterhouse ( 1849-1917 )
ローマ生まれのラファエロ前派の画家。
父親は英国生まれの画家で、ローマによく滞在していた。
父親のアトリエで絵を勉強して、1870年にアカデミー美術学校に入学した。
アルマ・タデマの影響もあって、古代史に題材を取った絵が多い。

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シャルロット姫。毎日、タペストリばかり編でいた。



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シャルロット姫。彼の声を聞いて船で出かける。

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The Soul of the Rose, 1908



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Windflower 1903
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by yuyuu-yano | 2014-11-07 06:04 | 絵画

ホドラーの描く「湖」

スイスの面積は、日本の九州とほぼ同じ。
そこに、約1500の湖がある。

山の上に無数に点在する小さな湖は、鏡のような湖水に雄大な山の姿を映しとる感動的な美しさである。

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トゥーン湖



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Landscape on Lake Geneva 1906  ジュネーブ湖 


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レマン湖


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トゥーン湖
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by yuyuu-yano | 2014-01-28 16:27 | 絵画

アーニョロ・ブロンズィーノの誘惑

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アーニョロ・ブロンズィーノ Agnolo Bronzino 1503年 - 1572年
マニエリスム期のイタリアフィレンツェの画家。
メディチ家のフィレンツェ公コジモ1世の宮廷画家として活躍する。
マニエリズムとは手法主義と言うことで、ルネッサンス後期のさらに後に出てきた画家達を指す。
ルネッサンスとバロックの中間。

ビーナスと接吻するのは息子であるキューピットであるが、あまりにエロチックではないか。
上の青い布を広げる老人は時の神であろう。砂時計を肩に乗せている。
下のある2つの仮面はなにかの象徴である。

今時代は古典的でありながら奇妙に長い手足など不思議なアンバランスの上に成り立つ絵画が多い。
乳房が小さくて、二の腕が太い女性像も、この時期の特徴。

男と女の区別が付かない・・・女にような筋肉のない男性像。
腰と尻がエロチックな天使達。
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by yuyuu-yano | 2013-10-20 18:26 | 絵画

キューピットを諌めるヴィーナス

ラファエロ・ヴァンニ 1528 メトロポリタン美術館

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ルネッサンスの三大巨匠のラファエロではない。
しかし、親族にあのミケランジェロではないミケランジェロが居たりと変な画家である。

骸骨を見つめる聖女の絵など趣味が良いようだ。













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さて、このキューピットを諌めるヴィーナスだが、どうも、この絵には何か秘密が描かれているようである。

キューピットが、カーテンを開けて中を見ようとするのだが、ヴィーナスが「見ては駄目よ」と、諌めている。

ヴィーナスの右腕には蛇が巻き付いている。
キューピッドの足元には鏡がおかれている。

この絵は2008年に上野の西洋美術館で開催された、ウルビーノのヴィーナス展で見たが
どうも気になる絵である。
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by yuyuu-yano | 2013-09-25 23:48 | 絵画

Giuseppe Archimboldo   “Flora Still Life”  1591

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アンチンボルド 1591年の絵。著作権は切れてますからね。


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by yuyuu-yano | 2013-03-29 22:22 | 絵画

アンチンボルドの遺構

これが恐怖の非表示だ。


 


http://yuyuu.iza.ne.jp/blog/entry/2655306/


 


 


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祈るしかないのだ。


 


ミレーも1875年に没しているので著作権は切れています。


 


 


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by yuyuu-yano | 2013-03-28 21:12 | 絵画

アンチンボルドの絵の転載の件で問い合わせ戴いた方へ

いつもお世話になっております。

さて、絵画の著作権ですが作者の死後、50年を経たものについては、著作権は無くなります。

人類共通の財産となります。

アンチンボルドは1593年に死去しており、すでに著作権は消失しています。

なお、アンチンボルドの絵を写真で撮影し、印刷した場合に、そのカメラマンに著作権は発生しません。

絵画の写真に関しては、「創造性がない」 との判断から、著作権は発生しません。

彫刻については、撮影方法によりカメラマンの創造性が働く場合があるため注意が必要です。


 


著作権情報センターに古典の絵の著作権について問い合わせた結果が以下に掲載されています。


http://art.pro.tok2.com/L/Lists/Useage.htm


 


この他にも古い絵画の著作権について論じたものはいくらでもあり、すでに著作権は無いという事で一致しています。


アンチンボルトについては海外の絵のホームページに多数掲載されています。


 


http://www.wikipaintings.org/en/giuseppe-arcimboldo/portrait-of-adam-1578




すでに著作権フリーですので、転載は自由です。


http://q.hatena.ne.jp/1206619727


 


以上


 


 


なお、こうした問い合わせは直接、コメント欄にお願いします。


IZAのサポートに問い合わせ戴くと、今回のように当該エントリーが法律に違反していると判断され削除されてしまいますので。


 


コメント欄は、まずIZAに登録してからコメントし、その後、即座に退会すれば良いのです。


 


アンチンボルドのエントリーが非表示となったため、せっかく戴いたコメントも非表示になりました。よもぎねこさん、ごめんなさいね。確か、実物をウイーンの美術館で見たとのことでしたね。


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by yuyuu-yano | 2013-03-28 13:35 | 絵画

病める子

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ムンクの初期の作品。


ムンクの子供時代に母は病死し、続いて姉も病死した。


ムンクがフランスの絵の修行に出発した後、父も死去している。


 


病気と死は弱められた生ではない。


余りにも健康すぎると病気になるのである。


逆に健康といわれる人達は、薄められた病気のような生涯を送る。


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by yuyuu-yano | 2012-05-04 08:38 | 絵画

月柱

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ムンクの絵に、月柱が描かれている。


これは、秘められた欲望のシンボルらしい。


 


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by yuyuu-yano | 2012-05-03 22:37 | 絵画