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わが国周辺のミリタリー・バランス(防衛白書)

この地域は、政治体制や経済の発展段階、民族、宗教など多様性に富み、また、冷戦終結後も各国・地域の対立の構図が残り、さらには、安全保障観、脅威認識も各国によってさまざまであることなどから、冷戦終結に伴い欧州地域でみられたような安全保障環境の大きな変化はみられず、依然として領土問題や統一問題といった従来からの問題も残されている。




朝鮮半島においては、半世紀以上にわたり同一民族の分断が継続し、南北双方の兵力が対峙する状態が続いている。


また、台湾をめぐる問題のほか、南シナ海をめぐる問題なども存在する。


 


さらに、わが国について言えば、わが国固有の領土である北方領土や竹島の領土問題が依然として未解決のまま存在している。




北朝鮮の核・弾道ミサイルの問題は、より深刻なものとなっている。


2010年11月、北朝鮮は、訪朝した米国人専門家に対してウラン濃縮施設を公開し、また、軽水炉の燃料のために数千基規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場が稼動していると発表した。


これは、北朝鮮が高濃縮ウランによる核兵器開発を推進している可能性があることを示すものであると考えられるが、過去2回(06年10月及び09年5月)の核実験実施の発表を含む一連の北朝鮮の言動などを考えれば、北朝鮮の核兵器計画が相当に進んでいる可能性も排除できない。


 


北朝鮮が核実験を行うとともに、弾道ミサイル能力を増強していることは、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安定を著しく害するものとして断じて容認できず、その動向が強く懸念されるところである。


 


また、北朝鮮は、10年11月に韓国の延ヨンピョンド坪島に向けて砲撃を行うなど、軍事的挑発行動を繰り返している。今後の北朝鮮の動向については、引き続き予断を許さない状況であり、金正日国防委員会委員長の健康問題や後継問題などが体制に与える影響も考慮しつつ、引き続き注視していく必要がある。


 


 


 



また、北朝鮮による日本人拉致問題は、わが国の国民の生命と安全に大きな脅威をもたらす重大な問題であるが、依然未解決であり、北朝鮮側の具体的な行動が求められる。



 


この地域の多くの国は、経済成長を背景として、国防費の増額や新装備の導入など軍事力の近代化を行っている。




特に、今日、政治的・経済的に大国として重要な影響力を持つ中国が、非伝統的安全保障分野における国際的な取組への積極的な参加を含め、世界と地域のために重要な役割を果たしつつあることは、国際社会から歓迎されている一方で、継続する高い国防費の伸びを背景に軍事力の広範かつ急速な近代化を推進している。


 


中国の軍事力近代化の現状や将来像は明確にされておらず、また、安全保障や軍事に関する意思決定プロセスの透明性も十分確保されていないことにより、各国が不信感や誤解を抱く可能性が指摘されている。


また、中国は、わが国の近海などにおいて活動を拡大・活発化させている。


 


このような国防政策の不透明性や軍事力の動向は、わが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項であり、慎重に分析していく必要がある。


 


こうしたことから、中国の軍事に関する透明性の一層の向上が求められており、中国との間で対話や交流を促進し、相互理解と信頼関係を一層強化していくことが重要な課題となっている。


ロシアは、メドヴェージェフ大統領のもと、世界で影響力のある国家として国益を追求していこうとしており、これまでの経済発展を背景に、国力に応じた軍事態勢の整備を行うとしている。


 


現在、兵員の削減と機構面の改革、即応態勢の立て直し、新型装備の開発・導入を含む軍の近代化などが進められている。


 


また、最近では、長期航海をともなう共同訓練や海賊対処活動、戦略爆撃機による哨戒活動を含め、軍、特に海・空軍によるグローバルな展開がみられる。


 


極東においても、引き続きロシア軍の艦艇および航空機の活動が活発化の傾向をみせているほか、大規模演習や装備近代化に向けた動きもみられている。




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by yuyuu-yano | 2011-08-15 20:22 | 祖国
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