毎日、多くのお客様がやってくる小売店やサービス業では、クレーム対応は日常業務である。 この問題に、どのように対応したら良いのかは、現場の責任者の日々の悩みでもある。 私も、コンサルタント会社等が開催する様々な「クレーム対応講座」の類には、時間を割いて出席しているし、クレーム対応の書籍も、何冊か読んだが、一部は参考になる部分はあるものの、ほぼ役に立たない。 むしろ、その通りにやればクレームが増えると思われるのも多数あるのが実態だ。
特に、長年、大手企業のお客様相談室でクレーム対応を担当してきたベテラン・・・等の話は、単なる技術論で何の解決にもならない。
顧客は最初は怒り狂っているので、怒りが収まるまで話を聞くこと。 その場合は、電話を少し耳から離しておいて聞き流す。 顧客がクレーム疲れをする時点をどのように判断するかが難しいがその類型は・・・などの研修を受けていれば、そりゃクレームも多くなりまっせ。
クレームの発生源に対する分類も間違っている。
①クレームを付ける客=クレーマー=困った客=特別待遇 ②普通の客=大人しい客=適当にやれば良い客
このような分析で対応すれば、普通の客がどんどんクレーマーに変身してしまう。
正しい分類は以下の通りである。
A)クレームを商売にしている人(客ではない) B)クレームを商売にしてない人(顧客)
Aのクレームを商売にしている人は店の客ではない。 店が彼らの客なのである。 商売人はお客様を大切にする。 お客(店)が壊れてしまえば商売にならないからである。 そのためAへの対応はプロの仕事であって現場の従業員の仕事ではない。 Aのビジネスは1960年代は猛威を振るっていた。 1970年は、さらにクレームの幅が広がり、多くの業者が参入した。 しかし、その後、彼らの商売が余りに繁盛するので、規制が強化された。 従来のA型のクレームは減少しているのである。 A型はプロでないと対応できないため企業はクレーム対応部署を作った。 その結果、現場ではクレーム対応は本部の仕事と言う意識が強くなった。これが現場のクレーム対応能力の劣化の要因である。 その結果、B の顧客のクレームも、真摯に対応せずに、「最近はクレーマーが増えた。私達は悪くない」となり、さらにクレーム客を増やしているのである。 これは、 ・顧客との洒落た対話が出来ない。 ・顧客のニーズを掴めない。 ・顧客が言っていることを理解できない ・顧客を自分の味方に出来ない ・そもそも、人と話をするのが苦手
このような現場側の戦力ダウンとも重なり、さらにエスカレートしているのが実態だ。
この問題の解決は、B客へのクレーム対応は日常業務であることを自覚すること。 会社はクレーム対応窓口を閉鎖して、Aへの対応を法務部に移管する。
そして、B客のクレームを総合的に分析して、商売のやり方を変えること、 クレームは企業が変わらない限り減らないのである。 そのため現場の顧客対応力+本部の顧客対応変革力が勝負となる。
なお、客の顔が見える商売と言う意味では、学校も医療関係も、地方自治体の役場もコンビニやファミリーレストランと変わらない。 現場を顧客の視点で分析して、意識から日常の動きまで変えましょう。
by yuyuu-yano
| 2011-08-13 11:17
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by 矢野友遊 カテゴリ
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