忙しさを例えるのに「盆と正月が一緒に来たような忙しさ」という。
正月と盆ではなく、盆と正月である。 盆は日本人にとって、とても重要なイベントである。
東京は7月15日が盆の中日である。 本日は菩提寺にて施餓鬼法要が行われた。 当社は彼岸及び施餓鬼は休業と社則で決めてある。
施餓鬼は、菩提寺にとっては最大級のイベントである。 この日は護持会費・墓地管理料の徴収もあるので、出席者も多く、受付も混雑する。ざっと数えたが、おそらく250人から300人の檀家信徒が参加していた。
まず、住職が施餓鬼の謂れについて説明する。 お釈迦様の弟子で、目連というものがあった。 この目連は神通力を持っていた。 ある日、彼は先に亡くなった母が天上界に生まれ変わっているかを確認すべく、母の居場所を神通力で探して見た。 ところが驚いたことに、天上界を隈なくスキャンしてみたが、どこにも母の姿はなかった。
彼は大変、驚き、今度は地獄をスキャンしてみると、なんと餓鬼道の中に母がいるではないか? あの優しかった母が、何故に餓鬼道で苦しまなければならないのか? 目連はその日から母のために祈り、さまざまな供物を捧げたが、供物は炎を上げて燃え尽きてしまい、母に届くことはなかった。
困り果てた目連は釈迦に相談する。
すると釈迦は、このように教えた。 「お前の母は、お前には優しかったかも知れないが他の人には冷酷であった。そのため餓鬼道で報いを受けているのだ。 お前は母を救うために祈りを捧げたが、それは通用しない。 今度、ここで多くの坊さんが集まり、大きな法要を執り行うので、そこにお前も出席せよ。そこで、母のために祈るのではなく、六道で苦しんでいる全てのご先祖様のために祈るのだ。その祈りが回り回って、最後に母のところにも届くであろう」
この法要が施餓鬼の始まりである。
施餓鬼は近隣のお寺の僧侶を集めて行うので、大きなイベントになる。 そして、全てのご先祖様にために祈るのであるから、彼岸供養のように、参加者の先祖の名前を読み上げることもない。
法要は太鼓、鐘、そしてシンバル(どう見てもシンバルなんだなこれが・・)も登場し、実に力強いものである。
法要の中では五色の短冊も撒かれる。 これを拾い、願い事を書いて、笹の葉につるす。 これが七夕である。
施餓鬼、盂蘭盆、七夕・・・この一連の行事が、東京の7月の風物詩である。合掌。
by yuyuu-yano
| 2010-07-07 01:28
| 伝統・感謝・祈り
|
by 矢野友遊 カテゴリ
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