「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥」新東宝映画 この映画も子供時代に見た。 もう一度、見直しておきたい映画であった。 「潜水艦イ-57降伏せず」は1959年であるが、この映画は翌年の1960年公開だ。
http://yuyuu.iza.ne.jp/blog/entry/2310972/
主演は天知茂、菅原文太。
特別出演は嵐寛寿郎とザ・ガードマン宇津井健
監督は古森白である。 この映画の背景は陸奥の謎の撃沈である。 昭和18年6月8日12:10、柱島泊地の繋留中の「陸奥」は、第三砲塔付近から突然白煙を吹き上げ火薬庫が大爆発を起こした。 艦体は切断され、その巨体は瞬時にして海中に没した。 艦内には1,474名の乗組員がいたが救助されたのは僅か353名に過ぎず、1,121名が艦と運命を共にした。 死者は溺死ではなく爆死であった。 原因調査の為に査問委員会が設置され放火とほぼ断定されたが、決手に欠ける曖昧な結論を提出して二ヶ月後に解散。真相は究明されないまま今日に至っている。
沈没原因が謎であるため、様々なフィクションの素材となった。この映画では国際間諜団の工作ということになっている。
さて、私がこの映画を見なおして確認したかったのは、平和に対する興味深い議論があった記憶があるからだ。
天知茂が演じる陸奥の副長・伏見少佐と、その叔父の池上中将との対話。 この池上中将は戦後民主主義のような絶対平和主義者。 これに対して伏見大佐は「我々はアジアの平和のために戦っている。貴方の言う平和とは何か・・・意味が判らない」 これに対する池上の返答は「戦争は悪ということだ」と答えるが、伏見は全く納得しない。
反戦映画なら、ここで伏見は飛んでも無い右翼だ。ネット右翼だと描かれるのだが、この映画では池上中将の方が怪しい奴・・・敵に通じた奴に描かれている。 池上は伏見に国際スパイ団のトップと彼に金を貰い協力する売国奴達を紹介する。 この連中が、金を貰いながら「平和のため」と陸奥の爆破に対して協力を要請する。 戦中も戦後も「絶対平和主義者は敵の間諜である」ことを、この映画が見事に描いているのである。 この感覚は1960年頃の庶民感覚であった。 安保反対と国会を取り囲んでいた人達は、以前は火炎瓶闘争をやっていた敵(コミンテルン)の手のものであることは、誰もが分かっていたのである。
by yuyuu-yano
| 2013-01-21 01:16
| 日本映画
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by 矢野友遊 カテゴリ
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