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女と男のいる舗道

この映画を最初に見たのは1970年。
御茶ノ水の日仏会館で開催されたフランス映画祭で、アラン・レネの「去年マリエンバードで」フランソワ・トリュフォーの「突然、炎のごとく」等と合わせて見た。
この映画祭は無料であったと思う。早くから並んで待って入場した記憶がある。映画に日本語字幕は付いていなかった。
「女と男のいる舗道」は、ゴダールの1962年の映画。
原題はVIVRE SA VIE である。
ゴダールには「女は女である」「男性・女性」 など、似たような名前の映画があるが、私は「女と男のいる舗道」が最も好きである。

最初の出だしの音楽は印象的。
音楽はミッシェル・ルグランである。
主人公のアンナ・カリーナがパリのCAFEで、最初に会うのは別れた夫である。
続いて、怪しいカメラマンが彼女に付きまとう。
続いてレコード店の勤務シーン。
愛想が全く無い、やる気のない店員。
ここで働いても給料が少なく、アパートの部屋を追い出されて、やむなく売春婦になるのだが、気に入らない男は拒否のため商売にならない。
アンナ・カリーナが映画館で「裁かれるジャンヌ」を見て泣くシーンは有名。

やはり20歳の餓鬼の時代に見るのと、今、見るのとは大違い。アンナ・カリーナの美しさも、センスの良さも、多分、当時は分からなかったでしょうね。
年を取ると、女性の美しさが良くわかるようになる。
ただし、分かったとて、モテルわけではない。
そこが、人生の哀しさなのである。

アンナ・カリーナと老哲学者(本物の哲学者らしい)の対話のシーンは全てアドリブ。全くの脚本無しという。
これを演じられる女優は少ないだろうが、 女性はいつも哲学者である。

最後の場面はあっけない。
アンナの悲鳴があまりに哀しい。



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by yuyuu-yano | 2009-05-03 05:42 | 泰西映画
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