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私の「奇妙な事務所の午後」(7)

<夜話5>奇妙なバイト


 


そのアルバイトは、やる人が居なかった。


そこで、今、やっている人は「代わりにやってくれる人」を探し出して、その人間に仕事を押し付けないと抜け出すことが出来ないのである。


 


やる人が居ない理由は・・・・


①眠いから


②安いから


 


この2点である。


②の安いから・・は、時給としては安くは無いのである。むしろ、良い条件なのだ。仕事も少なく、労働時間も短い。


この条件だけを聞くと、美味しい話に思える。


 


しかし、仕事があるのは一週間に一度だけ、それも午後の10時頃に始まり、午前2時過ぎには終わってしまう。いくら時給は高くても、週に4時間。それも中途半端な時間である。


 


仕事の内容は、週刊誌のトップ記事のレイアウトと校正&校了である。


週刊誌の記事の大部分(レギュラー)は、通常の編集スケジュールの中で、すでに校了している。


しかし、トップの時事的な記事の部分は、締め切りギリギリまで取材し、印刷直前に入稿するのである。


 


このトップ記事をまとめるのは、フリーのトップ屋さんである。


今はどうなっているのか不明だが、20年前はトップ屋さんも情報屋とアンカーに分かれていて、何人かの情報屋の集めた情報を、アンカーが上手に編集して記事にまとめ上げていた。


その原稿が上がるのが、発売前日の夜の10時頃である。


 


アルバイトは、会社の仕事を終えて、夜の8時から9時頃に都内某所の印刷所に入る。


そこで待っていると10時過ぎに原稿が届くので、それをレイアウトして、11時過ぎに入稿。


初校が出てくるのが12時過ぎ。それから校正して、再校が出てくるのが1時過ぎ。そこで校了して仕事は終了なのである。


数ページしかないので、仕事は直ぐに終わる。


原稿が長くて入らない時は適当に切る。短くて「空き」が出ると処理に困る。分けの分からない模様を入れたり、目次を入れたりして誤魔化す。迷っている時間は無い。


 


印刷の方はトップの部分以外は終わっているので、校了と共に最終部分を印刷、乾いたら製本。午後2時過ぎには全国に発送する。これが、都内なら6時過ぎにはキオスクに並ぶのである。


なお、当時はまだ活版であり、タイトルと写真は製版して組み込んでいた。


 


アルバイトは、それから、始発電車が出るまで待って自宅に帰る。


そして、仮眠すると寝過ごして遅刻するので、風呂に入ってから早めに出勤する。


こうして、ひたすら眠い一日が始まるのである。


by yuyuu-yano | 2009-03-20 16:38
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