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NHK特集「アメリカ発・世界自動車危機」を見る(3)

2月11日、14日のエントリーの続きです。


 


GMの金融子会社の話題の後は、日本の部品メーカーが出てくる。


この会社の名前を聞いて業界人は「はてな??」であろう。


自動車メーカー傘下の一次部品メーカーの殆どが加入している日本自動車部品工業会の会員ではない。この工業会の前身は戦前からあり、日本の自動車部品の規格を制定するのに重要な役割を果たした。


 


「自動車メーカーの下請けとして長く仕えて来た部品メーカーが、需要の激変により、注文が激減し、生き残りのため別の道を探る」というNHKが意図したストーリィにしたいのなら、自動車部品工業会の会員会社を取材するのが良いと思うのだが、そうしなかったのは何故か?


 


愛知県小牧市にある、とある小さな自動車部品会社・・・・


という雰囲気で登場する、この会社は、自動車や工作機械に使われる伝導ベルトの大手企業の一部門として1964年に発足し、2006年度に外資に売却された会社である。どうも「とある・・・」ではなく、意味ありそうである。


 


売却先はIACグループ(米国デラウェア州)である。


このIACグループは世界規模で自動車内装部品事業のグループ化を進め、グローバルで主要な自動車内装部品サプライヤーとなることを目指している。欧州では、IAC名のもとにドイツ、イギリス、スウェーデン、ベルギー、オランダ、チェコ、スペインに生産拠点を持ち、ブラジルと中国にも拠点がある。


 


以下のHPで、このグループの生産拠点を確認して頂きたい。アジアでは中国が飛びぬけて多いのである。


 


http://www.iacgroup.eu/index.php?id=100

 


 


番組の後半は、このグループの広告のような感じになるが、それをストレートに出すのではない。実に上手にストーリィに仕立てプロパガンダ色を薄めている。


 


日本の自動車メーカーの下請けとして頑張ってきた「とある部品メーカー」も、今回の世界自動車危機により、自動車メーカーから注文を減らされ、派遣社員を切るしか方法がなかった。


注文は回復する見込みは無い。


そこで新しい方向を模索する中で、このグループを知り、中国のモーターショーに出かけ、中国自動車産業に明るい未来を感じ、中国の部品メーカーと協力することを決めるストーリィとなっている。


 


この会社がIACグループに売却されたのは、1996年の中旬であるが、こうした事情は一切、触れられていないのである。


 


なお、NHKの放送の前に、この日本部品メーカーの神奈川工場が火事になった。12月18日の事である。


by yuyuu-yano | 2009-02-19 12:58
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