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マスコミの言う「未曾有の経済危機」を分析する

内閣府が16日発表した2008年10―12月期の国内総生産(GDP)速報値より、マスコミの言う「未曾有の経済危機」を分析してみる。


 


金融経済の分析家は、対前年比で分析する。


彼らは丁半博打の決め手となる材料が欲しいだけなので、対前年比の数字ばかり強調する。


 


実体経済の分析家は、常にボリュームを優先する。


小さなものが半減しても、大きなものが微減であれば、影響はないからだ。


 


そこで、GDPの内訳を円グラフにすると・・・・


物価変動の影響を除いた実質での数字。


 


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見て頂ければ分かるように、GDPは民間需要と公的需要(政府)に、純輸出をプラスしたものだ。


 


この中で一番大きいのが民間最終消費で57%を占める。


この民間最終消費の98%は家計最終消費支出である。


国民の毎日の消費がGDPの中核なのである。


これを内需と言わずに、何を内需というのだ?


 


次に来るのが政府最終消費の18%、続いて民間企業設備投資の15%である。


 


これに続くのが箱物で、民間住宅の3%、公的資産形成の3%である。


 


財貨・サービスの純輸出は3%。


これは輸出から輸入を引いたもので、貿易による利益である。


これが「外需頼りの日本経済」の中身である。


 


次に、各分野別の過去3年間の推移をグラフにしてみた。


 


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10月-12月までの3ケ月数値を2006-2008年の3年間比較してみる。


大きく落ちているのは企業の設備投資である。


経済環境の激変により見直しに入ったからである。


この他、原材料の暴落により、高い材料の時の高すぎる見積りを、不況を理由にキャンセルしたのもあるだろう。


今後、各企業が原価低減を行うためには設備投資が必要なので、やがて、この分野は動き出すと思われる。


次に目立つのが純輸出の減少。


これは海外需要の減少と円高の影響である。


 


一番、大きな民間最終消費は微減である。


民間住宅は、増加している。


これは、前年が、姉歯さんの影響で建築確認が超厳しくなったため大きなマイナスになったからである。リーマン・ショックより姉歯さんの影響は大きかった。


 


そして、最も大きなボリュームを持つ、民間最終消費支出の動向であるが・・・・


 


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このように右肩上がりで成長している。


確かに2008年は減少しているが、このグラフを見て「個人消費は大きく落ち込んだ」と書く記者の気持ちが分からない。


大きく落ち込んだ・・・というのは、せめて5~10%程度は落ち込まないと嘘報ではないか。


2008年7-9との比較で0.4%減、2007年の10-12との比較で0.2%減なのに大きな落ち込みは無理がある。


by yuyuu-yano | 2009-02-16 22:12
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