年末の挨拶で某社の社長との対話。
「当社は従業員はいるのですが、後継者が居ないのです。そこで人材バンクに依頼したら、あっという間に50人来ました。まだ、来ており最終的には100人になるかも知れません」。 「後継者の仕事は?」 「実務は従業員がやりますので、仕事はマネジメントです。経営をやってくれれば良いのです」 「従業員の中からやりたい人はいないのですか?」 「おりません(怒)」(おらんから、さがしとるんだろうが・・・) 「・・・応募している方はどんな方なんでしょう」 「それが大手の一流企業の40代、50代の方ばかりなのです。業績の悪化で、リストラされそうとか、自分の担当部門の業績が上がらないので、社内で責められている・・・とか、そういう理由です」 「大丈夫なんでしょうか?」 「当社なんかに一流企業から人材が来るなんて考えられないのですが、やはり金融危機の影響なんでしょうね。」 「もう、何人かとお会いになりましたか」 「いや、まだです」 「そうですか?」
従業員の中で優秀な人間が出世して、やがて役員になり、社長になるのは大企業の話である。
中小企業の社長は、仕事が出来るだけでは無理である。 中小企業は社会的に何の信用もないのだから、会社の営業成績が良いだけでは銀行は金を貸してくれない。 経営者の個人資産を担保にして金を借りるという「個人保証」の世界から抜け出ていない。 そのため、最悪の場合は自分の財産を失う覚悟がないと社長にはなれない。
中小企業は小船である。 大きな船と小さな船。波が来るとどちらが激しく揺れるか? 大きな船が跳ね返すような波でも、小船は翻弄される。 不景気で売上が数ヶ月、低迷しても、給料は定期的に支払わねばならない。 内部留保がなくなれば金を借りて給料を払うしかない。 運転資金は保持しなければならない。商売が出来なくなるからだ。
中小企業の経営者の給料は従業員よりかなり多いが、これで贅沢をしているわけではない。生活費以外の部分は、万一に備えそれを使わず貯金しておく。 社内の内部留保と、経営者個人の預金・・・・普通預金か定期預金が、さしあたりの防波堤であるからだ。 これが決壊すると、いよいよ自分の財産を担保に金を借りるしかない。
個人の貯金を使うのは、もちろんイレギュラーである。 でも、銀行は社長の給料が高い方が安心して融資する。 それから、生活が慎ましく、金の掛かる趣味を持ってないことも評価する。それは、個人の貯金も、当てにしているからである。
自分で起こした事業でもないのに、そこまでやる従業員は少ない。そこで、後継者難で廃業という事態が頻発するのである。
某社の後継者が果たして決まるか? 興味のあるところである。
by yuyuu-yano
| 2008-12-27 20:30
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by 矢野友遊 カテゴリ
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