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格差の競争力

相場を知っている人なら分かるでしょうが、

ストップ高は最終局面なのである。

ストップ高になったら、もうお仕舞。次は、ドーン、ド-ン、ドーンと落ちるだけ。

皆さん、一目散に資金を引き上げて逃げていく。

だから、ドーンでは終わらない。

上昇の速度が遅く、上下しながらも着実に上がることを「強い」と言う。

ストップ高は強いとは言わない。「終わったね」と言う。



これは人間にも言える事。

国家にも言える事。

地域にも言える事。



さて、ここからが本題。



工場や販売会社の進出先や提携先を調べる立地調査と言うのがある。

2000年頃に、私のところにも依頼が来た。

調査会社に依頼するより、長く業界を見てきた人に頼む方が確実というのが理由。



では、どのような地域が候補になるのか?

欧州の例だと、ドイツ、フランスは、土地、人件費が高い上に市場開拓の余地が無い。

可能性があるのは東欧、スペイン、北アフリカである。



この中で、人件費が安いのは東欧と北アフリカである。

東欧は、その人件費の魅力と、古い文化の魅力で、当初は注目された。

しかし、この地はあまりに長く共産党政権の支配化に置かれすぎた。

努力してはいるが、この影響を払拭するには、まだ時間がかかるだろう。

成功している会社もあるだろうから一概には言えないが、

人件費は安く、表面的に生産性が高いが、製造物の不良率が高すぎる。

中国市場も、この10年で変化したが、国営企業の従業員は変化していない。

働いても働かなくても同じなら、働かない人が増える。

そこに単純な競争原理を導入しても、それは悪い方に作用する。



そこで、スペイン北部や英国南部のウェールズが注目されることになる。



スペインは南部は観光で食べている。

工業は北海に臨む、アストーリァやビルバオだ。

写真はビルバオの市内。

このシックな茶、黒系の中間色を配したデコレーションの多い建物群が、印象的な町である。



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この町の物価は安い。

と言っても、東欧や中国よりは遥かに高く、

新幹線網が発達する前の日本の地方都市の物価である。

駅前のホテルに泊まり、2800円程度。駅前食堂のカツ丼が480円程度。

夜、飲みに行くと、地元の美味しいものを食べて感動して、2人3000円程度、そこで「もう一軒いこか」という時代の物価である。

給料は首都マドリッドに比べて安い。でも、物価は首都より、はるかに安い。

そこで、可処分所得は多くなる。

その可処分所得は、生活を楽しむ事に使う人達がいて、

郷土料理があり、郷土の言葉があり、郷土の文化がある。

そして、郷土を愛する人々がいる。



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これは、グッゲンハイム美術館である。

現代美術を中心にした奇抜なデザインの、この美術館の建物には、あまり感動しなかったが、その向こうに見える古い建築物との対比が、色彩的、造形的にも美しかった。



http://maps.google.com/maps?ie=UTF8&oe=UTF-8&hl=ja&q=&ll=43.34116,-3.023987&spn=0.120601,0.2314&t=k&z=12&om=1





・物価が安く

・人件費が安く

・独自の文化があり(文化は宗教・倫理を含む)

・郷土を誇りに思う人がいる(郷土繁栄のため共に努力する)



これが競争力にある地域なのである。

逆に見込みがないのは、

・給料は高い

・物価も高い

・文化も生活もなく、金の使い道は金融投資

・地域の繋がりは希薄で、治安も悪い



この視点で日本の地方都市を回ると、

競争力にある都市が、実に多いことがわかるのである。

すでに多くの人が、そのことに気付いているだろう。


by yuyuu-yano | 2007-08-12 08:43
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