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「人さらい」が出た時代

終戦後、当時の子供達が最も恐れたのは、

防空壕の中に居るといわれた幽霊ではなく、「人さらい」であった。

「人さらい」は、親を脅して身代金を取る営利誘拐ではなく「子供そのもの」が目的である。

それは「さらわれたら二度と帰って来れない」という恐怖があった。



「あそこは人さらいが出るから行かないように」

親から、子供達にそのように告げられていた場所が数箇所あった。

防空壕の跡は探検しても、人さらいの出る場所には誰も行かなかった。

今、考えてみると、単に親が行かせたくなかった場所(売春婦の立つ場所等)だったのかも知れない。




その後、昭和38年に「吉展ちゃん誘拐事件」が発生した。

「犯人から、身代金50万円を要求する電話があった」と聞いて「へえ」と思った。

営利誘拐事件は怖いが「人さらい」の方が遥かに怖い。



その後、町に街灯が整備され、子供達は「人さらいの話」を聞かされることは少なくなった。



だが、北朝鮮による拉致は、その後に起こるのである。

やはり「人さらい」の恐怖は本当だったのだ。


by yuyuu-yano | 2007-05-18 18:35 | 少年時代
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