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日本経済の実力

数日前に来た、どこかのメルマガに、

「一等国だった日本も三等国になった」と嘆く記事が出ていて、ちょっと驚いた。それも経済が弱くなったというのである。

軍事的な戦闘能力が弱いというなら分かる。

国家防衛能力が弱いというなら分かる。

経済が弱いというのは、いかなる認識なのか?



国民経済計算は、日本国内の総生産であるが、

これは1990年代から2000年までの、

「失われた10年」の間も順調に伸びた。

台湾2つ分ぐらいは伸びたはずである。

2000年以降は伸び率が鈍化しているが減少していない。



さらに、日本経済の実力は国内の生産、国内の販売だけではない。

国民経済計算は国内のもであるが、企業は国内+世界である。

そして、企業は連結決算だから、海外子会社を含めて連結で評価される。



自動車の例だと、日本の自動車メーカーは世界全体で2000万台の自動車を生産している。

この中で半分の1000万台を日本で生産している。

残りの1000万台を米国、欧州、中国、南アメリカ、豪州等で生産している。



日本で生産した1000万台の半分、500万台を日本で販売している。

国内販売分を引いた残りの500万台は輸出している。

世界総生産の中で日本で販売しているのは4分の1である。



この4分の1の500万台と、中国の国内自動車販売を比べて、

日本が抜かれるとか、抜かれそう・・・と言っても意味がない。

中国の国内生産や国内販売の中に、日本メーカーが中国で生産した台数が含まれているからだ。

それは日本メーカーが海外で生産している1000万台の一部に過ぎない。

このほか、中国国内生産ではドイツのVWと、米国のGMが大きなシェアを保持している。



これは自動車の例であるが、電機産業など他の分野でも同様である。

さらに、ここ数年は中小企業の海外進出が著しい。



とはいえ日本企業は国内を捨て、海外に進出するのではない。

国内と海外を分業させている。

付加価値の高いものは国内、ローテクは海外。

国内は機械化、労働集約型は海外。



最近の国内回帰の動きは、ここ5年間で、

日本の産業の付加価値がさらに高まったからである。

そのため国内への設備投資が急増している。

この状態を表現する言葉があるとすれば「絶好調」である。



どこにも「落ちぶれ」は無いのである。

by yuyuu-yano | 2007-05-11 13:00
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