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無敵艦隊が負けてから(3)

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2時間に及ぶランチの前菜。

最初に出て来た生ハムとオリーブで、私はご機嫌になっていた。

生ハムの塩加減が実に良い。

「おいおい、俺の好物、わかってるじゃないか」

「それにしても、あんた、美味しそうに食べるね」

言葉には出さないが、テーブルの上の空間には、こうした呟きが浮かんでいた。まさに阿吽の呼吸である。



私の問題提起は、ちょうど良い話題であったらしく、話はどんどん広がって行った。

「この客人、俺たちに刺激的な議論をふっかけて来るじゃないか」

こうした雰囲気である。



いくらフルコースとは言え、議論なくして2時間は持たない。

美味しい食事と、刺激的な議論・・・どちらもご馳走なのである。



当時、欧州の中小企業は、業種を問わず米国の大手が買収し、これに対抗して欧州の大手も、域内の目ぼしい中小企業を買収していた。

このテーブルを囲む業者は、お呼びのかからない業者と、わが道を行く独立志向の業者だけである。



「我々のライバルの多くは買収されてしまった。しかし、企業規模は大きくなったが内容は落ちた。開発力から販売力まで、見事に凋落した」

「これは一時的なもので、回復はあるのか?」

「回復はするだろうが、元には戻らないだろう。なぜなら、一番、大切なベテラン社員を捨てているから」

「ベテラン社員が部下の社員を育てているのに、それを退職させたら、従業員は素人集団と化すのは目に見えている」

「それから平気で顧客を放棄する。採算が合わないから止めるのは自分達の都合。顧客へのフォローが無い」

「長年のパートナーと突然、関係を切る。こうした商売は信用を失う」



株式を上場し、株主利益が求められるようになると、企業はなにがなんでも成長を強いられる。

マネジメントのプロと称する者が社外から来て、改革を進める。

年間4回決算して、それが全て良い成績でないと批判される。

ニューヨーク証券取引所の上場すれば、本社から子会社、孫会社まで連結決算対象企業は毎月決算の会計システムを導入する必要がある。

商売は良い時もあれば、悪い時もある。

上場企業は鎖に繋がれた巨人である。



日本には285万社の法人があるが、この中で資本金5億円以上は1万社を切る(9545社)。

さらに、この中で証券取引所に上場しているのは2000社程度である。

そして、日々のニュースに取り上げられるのは。この2000社の中のさらに一部である。

285万社から2000社を引いた残りは「その他大勢」として、マスコミからは存在しないかのように無視されている。

しかも、ビジネスを行っているのは法人だけではない。

法人285社のプラスし、青色申告・白色申告の個人営業が176万人(営業所得者)存在しているのである。



一寸の虫にも五分の魂。

やる気さえあれば上場大手と中小零細、チャンスはどちらにあるかは自明であろう。

巨大艦隊は弱いのである。

by yuyuu-yano | 2008-06-20 01:33
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