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タイと朝鮮半島

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タイはアジアの国で、唯一、欧米諸国から独立を保った国である。

日本もそうであったが、太平洋戦争で敗戦して、

1945年から、1951年のサンフランシスコ条約を結ぶまでの6年間は連合軍に占領されていた。

タイは、なぜ独立を保てたか?

日本よりも精強な軍隊があったのか?

そんな訳はないのである。



以前、タイのことを調べたことがある。

インドシナ半島の国は、古くは大陸の奥から半島に押し出されて来たらしい。ユーラシア大陸の最深部で、匈奴や蒙古やチムールが暴れる。すると、彼らの乱暴を恐れて、中央アジアの民族が周辺に移動する。すると周辺に住んでいた民族が、押されて半島に移動する。

ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、マレー、ビルマの国々は、このように押し出されて出来たらしい。



タイという国は、どうも一番、最後に押し出されたようで、

都も北部のチエンマイから徐々に南部に移っている。

その間、カンボジアやビルマと何回も戦争している。

バンコクの前の都であるアユタヤは山田長政が出世したので有名だが、1767年にビルマに攻められ滅亡する。

ビルマの遠征軍は市街を14か月にわたり包囲した後、

総攻撃で市街は徹底的に破壊され、生き残った住民、約1万人は捕虜としてビルマに連れ去られたと言う。

まさに、古代、アラビアで行われた民族総拉致、「バビロンの捕囚」のような話である。



このように隣国から常に攻められてきたタイであるが、

なぜ、西欧諸国の植民地にはならなかったのか?

その理由は、インドシナ半島のド真ん中にあったからである。



タイの南のマレーは1786年に英国の植民地になる。その南のインドネシアは古くからオランダの植民地である。

東隣のベトナム、ラオス、カンボジアは仏領インドシナである。

西隣のビルマは1886年に英国の植民地となる。

そして、フィリピンは米国の植民地である。



すなわち、タイは東西を英国とフランスに囲まれている。

英国が手を出したらフランスが怒る、

フランスが手を出したら英国が怒る。

さらに南には、米国とオランダが目を光らせる。

と言うことで、誰もが手を出したいけど、

誰も手を出せない真空地帯となったのだ。



実は朝鮮半島も似た状態にある。

明治維新以降はロシアと日本の勢力争いがあったし、

現在も、ロシア、中国、米国、日本に囲まれ、パワーバランス上、誰も手を出せない状態なのである。

米国はイラクに戦力を投下しているので北朝鮮まで手がまわらない・・・だから軍事行動をしない・・・という分析は違うと思う。



もともと、イラクに必要最小限の軍隊しか投入してないから、

だらだらと決着が付かないのだし、それがテロリストに見透かされている。

米国の軍事予算は日本の国家予算(一般歳出)と同程度と言う巨大なものである。

そのスーパーパワーは、いつでも使えるが、なぜか温存しているのである。



米国は米国の国益に沿って行動しているのであって、世界の保安官では無い。

日本も、日本の国益に沿った、北東アジア戦略が必要だ。



(写真はアユタヤの破壊された寺院・蓮の花の咲く季節に撮影)
by yuyuu-yano | 2006-11-04 22:58
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