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米国の新南北戦争

アメリカでは数年前から新南北戦争が勃発している。

1861年に始まり1865年まで続いた南北戦争は、

62万人弱の戦死者を出した、米国史上最大の悲惨な戦争であった。

これに比べると、第二次大戦は11万人、ベトナム戦争は6万人弱である。





この時の南部同盟はサウスカロライナ、

ミシシッピ、フロリダ、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、

ヴァージニア、アーカンソー、ノースカロライナ、

テネシー、テキサスの11州である。

これに、ケンタッキー、ミズーリ、デラウエア州がシンパとして加われば13州になる。

一方、北軍の方はボストン、ニューヨークなどの東部と五大湖沿岸の工業地帯である。

カリフォルニア州など西部は、新たに合衆国に加わったため、非奴隷州となり北軍に付いた。

まさに、今日の共和党(南)と民主党(北)の勢力図と同じなのである。



それでは、現在の新南北戦争のバックグラウンドは何か?

東部と北部は早くから工業が発展した地域であるが、日本、東南アジアの商品が流入し、長期的に低迷している。

当然、競争力の高い日本製品を抑えようとする。

そのためには、中国と結託しても日本を抑えるべきだと考えている。

 




一方、メキシコ国境に近い南西部はヒスパニックに人口が増加、さらに中国、韓国、インド、ベトナムなど世界中から移民が入り込んでいる。

こうした中で、人件費は北東部より安く抑えられており、労働組合等の組織率も低いことから南部への工場移転が進んでいる。

具体的にはアラバマ州にトヨタ、ホンダ、ベンツ、現代自動車の工場が進出、さらにテキサスにトヨタが建設の新工場は本年中に稼動する。



こうした南部に工場ができることは米国自動車産業のメッカである北部のミシガン・イリノイなどの諸州には我慢ならない話だろう。

 




南部の工場でヒスパニックの労働者により生産された日本ブランド車が低燃費を武器に売れて、北部のGM、フォードの従業員がリストラの憂き目に会う。

 


それなのに南部を基盤にしたブッシュ大統領は何もしない。

 


ブッシュがイラクで戦争をやって、中東情勢を不安定にし石油価格を上昇させた。その結果、低燃費の日本車が、ますます売れるようになったではないか。

 


我々を苦しめている国の小泉と仲良くプレスリーの生家なんかに行きやがって・・。

北部の人々と民主党は心底、腸が煮えくり返っていることだろう。



自動車産業以外でも、米国企業、外国企業とも新しい工場を作るなら、

北部ではなく南部へというトレンドとなっている。

 




南北戦争の勃発の契機となったアラバマ州は、人口に対するマイノリティの比率が高い。

 


南部は極めてインターナショナルな世界となり、グローバルな世界と繋がっているのに、北部・東部は米国伝統の孤立主義、保護主義に傾いている。



こうした経済的な動向が見えないと、現在の世界はクリアに見えてこないのだ。

 


by yuyuu-yano | 2006-09-30 23:42
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